鈴木大拙展を観て

鈴木大拙と言えば、大乗仏教を欧米に始めて紹介した人として有名です。
大乗仏教の中でも、「禅」を広めた臨済宗の僧侶ですね。

私はあまり詳しく知りませんでしたが、今日は渋谷のワタリウム美術館で
鈴木大拙展があったので、観てきました。

と言っても、鈴木大拙は僧侶なので作品自体は書が数点あるだけです。
後は鈴木大拙に影響を受けた芸術家の作品が主でした。

しかし、その影響を受けた芸術家が意外でした。

まずは、小説家のサリンジャー。「ライ麦畑でつかまえて」が有名ですね。
村上春樹が翻訳もしています。

そして現代美術の、ヨーゼフ・ボイス。ナムジュン・パイク。

現代音楽のジョン・ケージ。坂本龍一。
芸術家ではないですが、哲学者の西田幾多郎の書もありました。
この人たちは、それぞれのジャンルを代表するような巨匠です。

直接ではないですが、スティーブ・ジョブズも禅から影響を受けたことなどを考えると
鈴木大拙の影響はかなりあるのだなと思います。



私は大学で「現代音楽」の講義を受けていましたが、その中でジョン・ケージも少し学びました。
有名な曲(?)で4分33秒という作品があります。
これは、ピアニストが座ってピアノのふたを開けて4分33秒何も演奏しないという作品です。
当然観客は何か演奏するだろうと思っていたのが、狼狽するわけですね。
この作品でのジョン・ケージの意図は、周りの音を聴いて欲しいということでした。
曲を聴くのではなく、周りの雑音も同じように注意して聴いて欲しかったのだろうと思います。

ここまでは学生の時に学んだことですが、その背景にあるのは「禅」だったのですね。
それは今日初めて知りました。

そしてこれはマインドフルネスにもなりますね。
4分33秒周りの音に注意を向けるのは、聴くマインドフルネスと言えると思います。



西洋の音楽は、楽譜があり、音階があり、リズムがあります。
しかし、東洋の思想は、譜面に出来ない「間」のような捉え方をするのですね。
理屈で割り切った考え方ではなく、曖昧なものや自然のありのままの姿をそのまま受け入れる姿勢かなと思います。

以前「マインドフルネス、あるがまま、森田療法について」というブログを投稿しましたが、
その中で、対象を切り離すのではなく、対象と一つになっていくのが東洋的思想と書きましたが、
仏教、禅、瞑想、マインドフルネスは一つの流れの中にあることを再確認したような気持ちです。

最後に、鈴木大拙の禅に対する言葉を載せます。非常に難しいですね。(笑)
きっと頭で考えると分からなくなるのだと思います。それこそ「考えるな、感じろ」(ブルースリー)ですね。

「禅は、要するに、自己の存在を見抜く術であって、それは束縛から自由への道を指し示す。
われわれ有限の存在は、つねにこの世の中でさまざまな束縛に苦しんでいるが、
禅は、われわれに生命の泉からじかに水を飲むことを教えて、われわれを一切の束縛から解放する。」

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