ひふみんアイ

「ひふみんアイ」をご存知でしょうか。
「ひふみん」とは、あの将棋の加藤一二三のことです。

ひふみんアイとは、将棋の対戦で自陣からではなく相手の側から盤面を見て妙手を考えることです。
長らく加藤九段以外に行う棋士はいませんでしたが、あの藤井聡太も対局中に頻繁に行なうようですね。

プロレベルの実力であれば、その気になれば盤面を頭の中で回転させて相手の立場に立って考えることも出来るでしょう。
ただ、将棋の上級者は指し手を考える際、これまでの経験に基づいて直感的に候補手を数手に絞り込み、そこから読み始めます。この能力により、無駄な手を省いて妙手である可能性が高い指し手だけを効率よく読むことが出来るそうです。

しかし、「ひふみんアイ」で盤面を逆から見ると、瞬間的にはそれまで考えてきた将棋とは別の局面に見えるそうです。
そのため、脳は反射的に「直感的に候補手を数手に絞り込む」という作業をもう一度行います。
「ひふみんアイ」を行うことで、それまでに積み重ねてきた自分の読みの蓄積という先入観を捨てて、客観的に局面を捉えられるのでしょうね。
そのため、直感的に切り捨てていた手が例外的に最善手であるような局面では、その手を発見出来る可能性が高まると思われます。


これは、加藤一二三さんの手記です。

1時間ほども考えたでしょうか。中原さんが席を外したので、私は中原さんのほうにぐるっと回って将棋盤を見渡しました。

そうしたら何と、素晴らしい手が浮かんできたんです。

それが▲5五歩!なんです。

居飛車側から中飛車を相手に5筋を突っかけるなんてびっくりでしょう。

こんな凄い手があったんですよ。

中原さんのほうに立って盤を見つめるまでは思っても見なかった手です。

将棋世界Special Vol.4「加藤一二三」より




これは吃音も似ていると思いました。
私達は自分の側からしか(自分の都合でしか)吃音を見ていないけど、相手の側からしたらどうなんだろう?と考えたことはありますか?
見方を変えれば新しい発見があるかも知れませんね。
私達はどうしても、過去からの経験から判断しています。
しかし、それだけでは新しい「気づき」は生まれません。
相手の側に立つことで、凝り固まった自分の先入観や思い込みから外れて
新しい何かを発見できるのではないでしょうか。
例えば、どもった時に相手にどう思われているか?とか恥ずかしいとか思うことはあると思いますが、相手の側に立ってみたら割と気にしてないとか、なんとも思っていないことはよくあることではないでしょうか?



カウンセリングでも、グループカウンセリングを通して、相手の側に立つことを実践しています。
これは、カウンセリングで重要な「受容」と「共感」の練習でもあります。

吃音は心理的には「自我のとらわれ」ですから、相手の側に立つことで
とらわれから少し自由になり、新しい気づきが生まれ、吃音にも変化が出て来ると考えています。

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