私がベースが下手になった訳と吃音の関係
昔は何も考えずに弾いていた
「吃音はタイミング障害」ということを考えるにつれ、ちょっと思い当たることがあるので、今日は気ままに書いてみます。。
私の音楽歴は、中学3年生に聴いた井上陽水が最初です。そこから、吉田拓郎、かぐや姫などフォーク少年になりました。
当然、楽器はアコースティックギターですね。毎日弾きまくっていました。
そのころは、ギターが上手いとか、下手とか何も考えずに、ただ弾くのが楽しかったです。
高校3年のとき、友達の交友関係が変化してきて、友達の影響で「パンク」や「ニューウエーブ」が好きになりました。
一気に、邦楽から当時最新の洋楽に変わりました。聴いてた音楽は、「セックスピストルズ」「ウルトラボックス」「トーキングヘッズ」「XTC]などです。
そして、そのころ組んだバンドでは、上手いギタリストがいたのと、私はリードギターは弾けなかったので、ベースを担当することになりました。
ギターをそこそこ弾いていたので、パンクやニューウエーブのシンプルなベースは苦も無く弾けました。
自分のプレイに何も悩みはなかったのです。そのころまでは、、、。
メンバーに指摘されて悩むように
私が、初めて自分のプレイを気にしだしたのは、その頃に組んでいたバンドのメンバーからの「評価」でした。
たまたま、陰で「馬田のベースには光るものがない」と言っているのを聞いてしまったのですね。
今から考えると「光るものってなに?」なんですが、(笑)、当時は「これではいけないんだ」と思ってしまいました。
(今になって思うのは「感情表現」が出来なかったことが原因かと思います。感情は音に表れるからです。)
そして、次の転機は、大学で組んでいたバンドでの会話でした。
その時は「馬田のベースには、タメがないんだよ」と言われたのです。
当時バンドは、プログレッシブロックの「キングクリムゾン」をコピーしていて、リズムがすごく「重かった」のですね。
そして、タメて弾く練習を繰り返しました。
私の心理としては、「自分には光るものがない」「タメがない」が繋がってしまっていたので、タメを必要以上に意識してしまうようになりました。
リズム感がおかしくなる
その結果どうなったか?
リズム感がおかしくなりました。ジャストのリズムで弾けなくなりました。
多分、変に意識したので、不自然にタメる「癖」がついてしまったのだと思います。
とは言っても、素人目にはさほど気にならない程度でしたが、その後加入したバンドでプロになることになります。
当然、プロは技術的にシビアですし、何よりレコーディングをすると、リズムの狂いはすぐに分かります。
自分の実力は自覚していましたので、家で必死にメトロノームで練習しました。
メトロノームに合わせて、ベースを弾き、録音してチェックする。リズムがジャストだと、メトロノームの音が消えます。
しかし、あまり効果は出ずに、プロのプレッシャーと自分のプレイへの自信のなさで、少しうつになりました。
結局、サードアルバムまで参加して、その後脱退しました。
吃音もリズム(タイミング)が大事
吃音は、内的タイミング障害と言われます。自分の意思で言いたいタイミングと、呼吸や発話機能のタイミングが合わないのです。
だから、外からのタイミングを与えられると、どもらない訳です。歌とか斉唱、ラップがそうですね。
これは、遺伝子からくる脳の異常の可能性が大きく、先天的なものです。
しかし、あまり知られていない、一次吃音と二次吃音の違いに書いたように、成人の吃音は、ほぼ心理的なものです。
では、成人になってもなぜ「タイミング障害」が残るのでしょうか?
吃音は悪い癖
それは、吃音を意識して「悪い癖」がついてしまったからだと思います。
つまり、幼少期からついた癖で、元の脳の異常はかなり回復していても、癖だけが残っているのではないかと思います。
吃音で嫌なことがあったことに対し、意識するという心理的なものと癖が繋がってしまったのでしょう。
ただ、単なる癖ならよいのですが、そこに不安や恐怖が張り付いているので、治しにくいのですね。
楽器の練習の場合、この癖を治すには、最初はゆっくりとメトロノームに合わせて練習し、徐々に早くしていきます。
どうですか?吃音の発話訓練に似ていますね。
吃音も、極端にゆっくり発話するとどもりません。これは、癖が外れるからだと思います。
そして、メトロノームに合わせてタイミングを合わせて癖を修正し、徐々に早くしていくと癖が治りやすいです。
要は、正しいタイミングを脳に教えてあげること。
吃音の矯正は、発話訓練としては大体この方法が行われています。
また、リズムを合わせるには「注意集中力」が必要だと思います。
雑念(上手いと思われたい)とか(かっこいいと思われたい)と考えていると、リズムを外しやすい気がします。
実際、私が接したプロのミュージシャンは、性格の良い人が多かったです。
リズムを合わせるのは、瞬間のことなので、かなりの集中力が必要です。
また、楽器の演奏にもジストニアはあります。
ジストニアとは 身体の筋肉が異常に緊張した結果、異常な姿勢・異常な運動を起こす状態です。 運動を行う回路に混線が生じた結果、運動するという命令が過剰に出ている状態と考えられています。(NCNP病院のホームページより)
何かの心理的な要因で、ジストニアがおこった場合、タイミングが取れなくなることがあり得るでしょう。
また、タイミングとは別に、無駄な力を入れてしまうことも関係していますが、それは吃音とベースとテニスに書いています。
今日は、思いついたままに書いてみましたが、面白い考察ではないかと思います。
最後に、当時の動画を張ります。
このベースは逆にちょっと走ってますね。(笑)