まずカウンセリングとは何か?についてご説明します。
カウンセリングと言うと「悩みを相談して解決するもの」と思われがちですが、
それは「悩み事相談」になります。
悩み事相談は、悩みの原因に対してアドバイスします。
例えば、職場の人間関係で悩んでいる人に対して、転職した方がいいとか
上司に報告した方がいい、などのアドバイスは「相談」になります。
それに対して、カウンセリングは、悩みから生まれる「感情」「思考」「行動」
に対し、その人特有の反応パターンや認知を見つけ、分析し、修正していくものです。
悩みの原因に対してのアドバイスはしません。
次に、治療とカウンセリングの違いについて。
よく混同されがちなのですが、治療とカウンセリングは全くの別物です。
精神的疾患のあるかたで病院で治療されているかたがいらしゃれば、まずは治療を優先して下さい。
治療の目的は、病気の状態を診断し、平常の精神状態に持っていくこと。
カウンセリングの目的は、正常な精神の人が悩んでいてより良く生きたいなど自己実現に向けて受けるもの。
心の問題、感情の問題への対応です。
治療ではなく援助です。
治療が、平常の状態にするのが目的であるのに対して、カウンセリングはカウンセリング前よりも
心の器を大きくするのが目的です
①吃音の治療(臨床)と②カウンセリングの違いについてご説明します。
①治療は、
a)医師 耳鼻咽喉科、脳神経科、吃音外来、精神科など
b)言語聴覚士 環境調整法、リッカムプログラムなど
c)臨床心理士 公認心理師などによる医学的、治療的ケア
②カウンセリングは、
a)精神的ストレスの軽減やトラウマ的経験による条件付けなどによる誤った反動形成の修正
b)吃音をかかえる二次的障害(社交不安)、職場や家族関係、人間関係などへの対応,悩みと共に生きていける心の器を育てること
などを行います。
吃音のカウンセリングでは、吃音を受け入れたり、悩みを傾聴しながら吃音を抱えながら生きていくことの意味付けを図ること、認知行動療法を用いて、認知のひずみを修正し、社交不安を軽減するのが一般的です。
私のカウンセリングでは、これに加えてマインドフルネス吃音改善法とACTによるセラピーを行います。
マインドフルネス吃音改善法とは、吃音の症状が出た時に、「今この現実」を観察し、それを評価しないというマインドフルネスの実践を行います。具体的にはどもった時の身体の感覚や呼吸の感覚を感じていくというプロセスです。
評価しないであるがままを観察できたとき、吃音の症状が改善されます。
ACTとはアクセプタンス&コミットメントセラピーの略で、具体的には、セラピストとの会話や自身の日常での実践を通じて、「いま、この瞬間」自分の中にある思考や感情を受け容れながら(アクセプタンス)、自分自身が大切にしたい価値に向かって行動パターンを作り上げる(コミットメント)ことを目指します。「マインドフルネス」の方法も使いながら、行動変容を促す手法として注目されています。
それと同時に、心のしなやかさ、本質を見る力を育てることを目標にして、境地を高くすることで
吃音があってもあるがままを受け入れる自己肯定感を高めていきます。あるがままを受け入れることが出来ると、吃音は軽減します。
耳鼻咽喉科の医師や言語聴覚士の行う治療と違って、カウンセリングは、すぐに目に見えた変化はありませんが、少し長い目でみれば吃音が改善し、それ以外でも人生を豊かに出来るのがカウンセリングです。
これからも、私はしっかりと研鑽を積み、皆さんに寄り添っていきたいと思っています。