正しく悩む


皆さんは悩みや落ち込むことについて、どのようなイメージがありますか?

多分、多くの方が「孤独、苦しみ、悲しさ、寂しさ、不安」など、マイナスのイメージがあるのではないでしょうか?

そしてその状態は自分にとって、悪いことだと考えていると思います。

悪いことだと思っているから、本来の悩みに加えて、悩んでいる自分にもまた悩んで落ち込んでしまうのです。

でも、落ち込んだり悩んだりすることは本当に悪いことなのでしょうか?

実は、「悩む」というのは「より良く生きたい!」という心の表れでもあります。


より良く生きたいのに、そうできないから落ち込んだり悩んだりするのです。
そもそも、自分はこう生きたいと思わなければ、悩むこともない訳です。

また、落ち込みやすい人というのは感受性が豊かである証拠ともいえます。

感受性が豊かで様々なことを敏感に感じ取ってしまうために悩んでしまうわけです。

このような方は感情の振幅の幅が大きいので、その反対に小さなことにも喜びや感動を見出すことができるのです。
思い当たるでしょうか?

大切なのは、落ち込んだり悩んだりする自分を否定しないことです。
そして、正しく悩むことです。

では、どうしたら正しく悩むことが出来るのでしょうか?



①自分でどうにかなることと、どうにもならないことを分ける。

悩みの原因の中には、自分の力でどうにかなることと、どうにかならないことがあります。

自分の力ではどうにもならないことについては、悩んでも仕方がありません。
無駄に悩むことにエネルギーを費やしてしまい、建設的な悩み方が出来なくなります。
自分の力でどうにかなることについては具体的にどうすればよいかを考えていくことです。

悩みのメリットを見出す

こうすればよい、とわかっているのにできないということがあります。
それはもしかすると、悩んでいる自分に何らかのメリットがあって、
実は本当は解決を望んでいない、ということがあります。
例えば、落ち込んでいる時に人からことさら優しくされたり注目されると、その状態にメリットが生じ、その状態から抜け出せないことがあります。
これは、カウンセリングでも気をつけなければいけないことで、 
うつの傾向のあるクライアントに、優しく話しを聴いていくと
うつが悪化するという論文もあります。

アドラー心理学では、人が落ち込むときには先に目的があり、自分自身でその感情を選択しているのだ、と言われています。

つまり、人から注目を得たり優しくされたいがために落ち込むということを選択しているのだ、というわけです。

また、自分に自信がない人、とか自己肯定感が低い人がいますが、
これはある意味「自分に自分はダメだと言っている」状態です。
実は、これもラクな状態を選択しているとも言えます。

つまり、「自分で自分にダメだと言う」ほうが、「他人からダメだと言われる」より
心の傷が浅いからです。
それと「他人からダメだと」言われたら、具体的に行動起こし、自分を変えていく必要がありますが、「自分でダメだ」と言っているうちは、変える必要がありません。
つまりラクなのです。
自分を変えるのは、怖いことだし、大変なことです。
変えなくてもそれなりに生きてきたので、出来れば変えたくないのですね。
変えると何がどうなるか分からない。生物の本能が変化を拒みます。

これは、無意識のうちに選択しているので、気づくのが難しいです。
しかし、その意味に気づくことができれば、その状態から抜け出すことができます。

 

過去と他人は変えられない

自分のやってしまったことについて後悔して落ち込んだりすることがあるかと思いますが、過去はどうがんばっても変えることができません。
大切なのはそこから何かを学び取り、同じ過ちを犯さないために未来に活かすことです。

また、人の反応が気になったり腹がたったりすることもあるかと思います。でも、相手がどのように感じ、どのように考え、どのように行動するか、これをコントロールすることはできません。
アドラー心理学には、課題の分離という考え方があります。
それは相手の課題であって自分の課題ではない、と分けるべきなのです。

作家の五木寛之は「心に悲しみ、不安、孤独を感じたとき、自分を卑下したり、がんばれと奮い立たせたり、はたまた楽しいことで気を紛らわせたりせず、深々とため息をついて、その気持ちに浸ることが大切である。人間はそのような気持ちを心の中に持ち、それをしっかりと見つめていきなければ真の喜び、幸せは得られないのではなかろうか。」と言っています。
これが、あるがままを自覚するということではないでしょうか?

また、ある生物学者が朝顔を綺麗に咲かせるための条件を研究したところ、朝顔に必要なのは温かい温度でも明るさでもなく、実は夜の冷たさと闇だったそうです。

私たち人間も大きく美しい花を咲かせるためには、心の闇が必要なのかもしれません。

孤独や不安、悲しみといった悩みを心に抱えるからこそ、深みが作られ、成熟していくのではないでしょうか。
それを否定せず、その上でエネルギーに転換していくことが重要なのです。
悩んだり落ち込んだりするのを避けるのではなく、正しく悩むことが大切だと思います。

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