NLPを吃音改善に活かす

NLPとは?

NLPをご存知でしょうか。
NLPとはNeuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング)の略称で、別名「脳と心の取扱説明書」と呼ばれる比較的新しい実践的な心理学です。
1970年代にカリフォルニア大学で言語学の助教授をしていたジョン・グリンダーと、同大学の心理学部の学生であったリチャード・バンドラ―が、当時天才と言われていた3人のセラピスト、催眠療法の『ミルトン・エリクソン』ゲシュタルト療法の『フリッツ・パールズ』家族療法の『バージニア・サティア』の手法を分析したのが始まりです。
内容は 神経言語プログラミング という名前の通り、脳のプログラミングを言語によって書き換えるという手法です。
私も学びましたが内容は膨大なので、吃音の役に立つ部分だけカウンセリングでは使用しています。

脳は否定形を理解出来ない。

NLPの考え方で特徴的なのは「脳は否定形を理解できない」というものです。
例えば、吃音者が話をするときに「どもってはいけない」と、強く思ったとします。すると頭の中でどのようなイメージが浮かぶでしょうか?
脳は否定形を理解出来ないので、「どもっていけない」と思えは思うほど、脳はどもるイメージを持ってしまうのです。

これは、心理学の実験で証明されています。心理学者、ダニエル・ウェグナーのシロクマ実験では、Aグループには「シロクマのことを考えておいてください」と、Bグループには「シロクマのことは、考えても考えなくても好きなように」Cグループには「シロクマのことだけは考えないでください」と伝えました。1年後に質問すると、シロクマのことを最も詳しく覚えていたのは、意外にも「シロクマのことだけは、考えないでください」と伝えたCグループだったのです。


また、「○○してはいけない」は、主体的か受動的かと言うと、受動的ですね。
この場合は、主体的な言葉に変えたほうがいいです。
あなたの発した言葉が、脳のイメージを作り、それが現実となっていくのです。
この場合は、「内容に集中しよう」とか、「相手に分かりやすく話そう」などの肯定形の方かよいです。
主体的な言葉は、意欲に結び付きやすく、意欲は言葉に現れます。
皆さんもネガティブなことを言おうとするとどもったりしませんか?逆に、好きなことやポジティブなことを言うときは比較的どもりにくいと思います。また、どもったとしても、後のダメージは少ないはずです。

リフレーミング

また、自分の言葉をリフレーミングするという方法もあります。リフレーミングとは、物事の枠組みを作り直すという意味です。
起こった出来事は変わらなくても、意味付けを変えることは出来るのです。

例えば、「自分は飽きっぽい」と思うのと、「好奇心旺盛だ」と思うのでは気持ちはどう変わるでしょう?
どちらも性格としては似たようなものだと思うのです。要はとらえ方の違いです。
同じように、「暗い性格」は「自分の世界を大切にする」
「変わっている」は「個性的」
「頑固な」は「意思が強い」
「しつこい」は「粘り強い」など、、、。

本来、物事は無色透明です。
それにどんな色をつけるかは、私達次第なのです。

過去にこだわるのではなく、今なにをすべきか?

また、従来の心理学は、悩みの原因を探し対処するものが多かったのですが、NLPでは過去にこだわるのではなく、自分がどんな目標を持っているか?そのために今なにをするべきかに目を向けます。

例えば、「吃音だから○○。」この○○には何か入りますか?そして、それを「吃音だけど○○」に変えてみてください。
この○○には、何が入るでしょう?

あなたの潜在意識は常にあなたの発する言葉を聞いています。言葉を意識することで潜在意識は変えることが出来ます。

感覚に意識を向ける。

次の特徴としては「感覚」に意識を向けることです。
例えば、流暢に話せているときと話せていない時の違い。五感から受ける情報はどこが違っているでしょうか?

呼吸はどうなっていますか?
どこかに力が入っていますか?
姿勢はどうなっていますか?
など
客観的に把握出来たら、流暢に話せているときを五感を使ってイメージします。五感は潜在意識に直接働きかけるからです。

意識と無意識の違い。

ここで、意識と無意識の特徴を少し説明します。
ざっくりと説明すると
意識=思考=頭=言語
無意識=身体=感覚
となります。
つまり、思考するのではなく、五感を使って感じることにより、潜在意識へアプローチが可能になるのです。
私がカウンセリングで行う吃音の観察も、吃音時の身体感覚を感じることを重視しています。

現代人は身体感覚がおざなりになり、頭(思考)に偏りやすくなっていると思います。
特に、吃音者はそうです。
どもっているときは、「どうしよう」とか「相手からどう思われるかな」とか、思考がぐるぐると回っていませんか?
そして、自分の周りの情報、例えば、自然の美しさ、人の表情、などを五感で感じることよりも、思考に逃げ込むことが多いのではないでしょうか?
実際、吃音で悩んでいるかたは、普段から身近に美しい景色やものがあっても気づいていないこと多いし、気づくようになると吃音が改善する傾向があります。

「知的」と「体得」

よくSNSで「吃音を前向きにとらえましょう」といった投稿が見られます。
しかし、それは皆、頭では分かっていることです。潜在意識へのアプローチがなければ、前向きに変えることは出来ません。

学習には「知的」と「体得」とあり、「知的」とは「頭で知っている状態」で、「体得」とは「身体がおぼえている状態」のことです。
自分を変えていくことや、吃音を改善していくにはこの「体得レベルでの学習」が必要で、「体得レベルの学習」とは、無意識レベルに落とし込んだ学習のことを言います。

NLPは、不幸を作り出すプログラムを解放し、幸せになるプログラムをインストールする実践的な方法です。

事実は変えられないが、思い込みは変えることが出来る。

例えば、犬に噛まれて犬が苦手になった人は、噛まれた犬だけでなく、あらゆる種類の犬が怖いという、一般化(部分を全体につなげる)をしてしまいがちです。


吃音者ならば、ある人に馬鹿にされたことがあると、皆が馬鹿にすると思い込む。これも一般化して、そのプログラムが常に働いている状態です。しかし、これは思い込みに過ぎません。
事実は変えられないですが、思い込みは変えることが出来るのです。
そして、私達のストレスはほぼ思い込みによって出来ているといっても過言ではありません。
ということは、私達のストレスのほとんどは、適切な方法を知っていれば克服できるということです。

NLPは、従来の心理学の立場からは、少し低く見られていたようですが、
最近の脳科学の発達により、有効性が証明されつつあるようです。
実際、バラク・オバマ 勝間和代 Daigo ネルソン・マンデラ レディ・ガガ
マザー・テレサ クリントン元大統領らも活用しているようですね。

NLPの書籍は沢山あるので、興味のあるかたはお読みになると良いと思います。

NLPを吃音改善に活かす” に対して2件のコメントがあります。

  1. 加瀬 重穂 より:

    いつもいつも参考になります。ありがとうございます。

    1. stardust より:

      こちらこそ、お読みいただきありがとうございます!

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