吃音改善には、まず○○から。

今月の、21.22日は、日本吃音流暢性学会の大会がつくばであります。
私は、ポスター発表をするので、今はその準備をしているのですが、慣れないことばかりです。
美術大学出身なので、卒業制作などは経験がありますが、学生時代は論文や学会とは無縁でした。
それが、この歳になって学会で発表することになるとは、夢にも思いませんでした。
多分、こんな変わり者は私だけでしょうね。(笑)

抄録(そもそもその意味が分からなかったです)は、何とか採択されたので、発表は可能ですが、問題は内容です。
一応、形にはなったので、ある吃音臨床の専門家のかたに見て頂きました。(特に心理面に詳しく、論文も多く書いていらっしゃるかたです。)
非常に優しいかたで、私のことも応援してくださっているので、いろいろとアドバイスしてくださいました。

そのアドバイスをお聞きして、大事なことが発表から抜けていたことに気づきました。

それは「変容」です。(この言葉を発表で使うかどうかは、分かりませんが)

「吃音の症状が減少した」とか「社交不安が減った」とかは、もちろん大事なのですが、
まず最初に大事なのは「変容」です。
実際は「変容」があり、遅れてから「吃音の変化」があります。

はい、タイトルの○○とは「変容」のことです。
その人の中で、何かが変わるということです。

カウンセリングに来られるほとんどのかたは吃音を治したいか、吃音の不安を減らしたくて来られます。
ただ、吃音の症状も、吃音の不安も、植物で言えば「葉っぱ」や「花」の部分で、大事なのは「根」なのですね。
「根」に問題があると、いくらきれいな花を咲かせようとしても、咲きません。
そして、吃音の臨床に於いて、直接法(言語のトレーニング)は、土の上の目に見える部分です。


これには「氷山モデル」という説明があります。
氷山の、水の上の目に見える部分は小さく、海の下の目に見えない部分の方が大きいという説明です。(Sheehan  1970)
目に見える部分、いわゆる吃音症状だけではなく、見えない部分の思考(吃音は悪いもの)感情(恐怖や不安)行動(吃音を隠す。話すのを諦める)の方がむしろ問題が大きいということですね。



日本の吃音の臨床も、ずっと直接法が主体でしたが、それでは治療がうまくいかないことが多く、心理面のサポートが近年重視されてきています。

このサポートの方法(技法)も、いろいろありますが、最近は認知行動療法(第二世代)が多いようです。
これは、認知のひずみを正して、不安を減らす方法ですが、私はこの方法ではなく「あるがままを認める」ことによって、自然と意欲が湧いてくる方法をとっています。
それが、マインドフルネスであり、ACTです。

直接法で、吃音を矯正するのではなく、心の内側から「話したい」「しゃべりたい」という意欲を沸き上がらせる方法です。
実は、意欲が増してくると、吃音も減ってくることが多いです。
ただ、それを目的としてしまうとうまくいかないのですね。
「自らが主体的に生きるよろこび」を実感するのが先決です。
カウンセリングは治療ではなく、人間の成長を促すものですから、直接吃音にアプローチするよりは、感情を自然に出せたり、意欲が増すようにするほうが、吃音にも良いと思います。

学会での発表も、そこがうまく伝わるとよいのですが、、、。
もし、来られるかたは聞きに来てください!


日本吃音・流暢性学会第11回大会

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