どもる条件は細かく○○したほうかいい。

吃音はいつでもどこでもどもるわけではなく、その人特有のどもる条件があります。
対人関係で言えば、普段の会話ではどもらないけど音読でどもる人。
電話でよくどもる人。
会社の上司相手だとどもる人。

場所で言えば、会社ではどもらないけど、家だとどもる人。
zoomだとどもる人。
など、人それぞれですね。

吃音臨床の一般的な解釈からすると、DCM(ディマンド&キャパシティーモデル)と言って、キャパシティー(能力)が少ないのにディマンド(要求)が大きいと吃音が出やすいと言われています。
ただ、様々な条件によって吃音が出たり出なかったりするのは、これだけでは説明出来ません。

私はこれをACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)や関係フレーム理論で説明しています。
過去に恥ずかしかったり、嫌な体験をすると、その体験とその時の状況が結び付きます。
これは言葉(頭の中の思考)だったり、映像だったり、音だったりします。
これを関係フレーム付けが出来ると言います。(古典的条件反射から説明すると条件付けが出来るとも言えますね)
これが出来てしまうと、同じような状況が刺激となり、その刺激と結びつけられた状況がバーチャルな現実として心の目で見えてしまうのです。
従って、過去に嫌な体験をした時と同じ状況が再現されてしまうことになります。
過去に電話でひどくどもってしまったのなら、電話をかけようと思った時に、電話を見たり「電話をかけなきゃ」と言う思考(言語)が刺激となり、過去の状況が現実のように感じられ、同じようにどもってしまうということです。

ACTの説明では、この関係は一度出来てしまうと自分の意思で切り離すのは困難です。
むしろ切り離そうとすればするほど関係は強くなってしまいます。
例えば、緊張しているときに「緊張しないようにしよう」とすると、余計に緊張しませんか?
また、目をつぶって「レモンを絶対に思い浮かべないでください」と言われたら、どうしてもレモンの映像が浮かぶはずです。
なのでACTでは関係を切るのではなく、ただ観察してそのままにしておくという方法をとります。

ただ、問題はこの「関係フレーム付け」は放っておくと広がってしまう恐れがあるということです。
例えば、電話という刺激に対して「仕事」という刺激がつながってしまった場合、
電話を含めて、仕事全般でどもりやすくなるかもしれません。

吃音者はよく○○行が苦手と言いますが、これも関係フレーム付けの可能性があると思っています。
名前が苦手な吃音者は多いですが、特に名前の最初の音が出にくいですね。
するとその音が最初の言葉が全部出にくいということになります。
また、その音は○○行に含まれているので、またそこで関係フレーム付けが出来た場合、
○○行が全部言いにくくなります。

このように、恐怖や不安は関係フレーム付けによって「派生的に」広がってしまうのです。
(実は、この仕組みは「言語」や「シンボル」という概念が深く関わっているので「観察」という言語を伴わないプロセスが大事なのですが、それは別の機会に書きます。)

では、この「派生的に」広がらないようにする方法があるのでしょうか?

それが、自分がどんな刺激でどもるのかをよく観察すること。となります。
この刺激の観察が曖昧だと、曖昧な分、不安が派生的に広がってしまいます。
「私がどもるのはこんな時だ」とよく自覚しておいたほうが派生しにくい訳です。

○○行でどもると曖昧な自覚でなく、いつ、どこで、どんなとき、相手はどんな人か、どんな言葉か、など細かく知ることは自分を守ることにもつながります。

タイトルの○○に文字を入れると、

どもる条件は細かく自覚したほうかいい。
となります。

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