ACTの「価値」について。
ACTを用いて吃音を改善するグループ「マインドフルな吃音の会」は。毎月2回グループカウンセリングを行っていますが、今日は今月2回目のグループカウンセリングを行いました。
今日のテーマは「価値」についてです。
「価値」とは、ACTの6つのコアプロセスの一つです。
人生において、本当に求めたいもの、大切なもの。それを明確化することが、人生を有意義にするからですね。
ACTにおいて、これが一番重要なプロセスとなります。
人は誰でも「価値」を求めて生きていると思いますが、「価値」に添って行動しようとすると、必ずと言っていいほど「心理的バリア」が現れます。
例えば、「こんなことしても無駄だ」、とか「出来るはずがない。」とか、「後で考えよう。」とか、、。
ACTはよく、マインドフルネスを行う認知行動療法などと思われますが、大事なのは「価値」で、マインドフルネスは心理的バリアを取り除く一つのテクニックとして使用されています。
だから、マインドフルネスや瞑想をして心地よくなるのが目的ではないのですね。
ACTはとてもダイナミックな心理的トレーニングだと思います。
この「価値」をどう設定するかが大事なプロセスとなりますが、これが意外と難しいのです。
まず、「価値」とは、目標やゴールではない、ということ。達成出来たかどうかは関係ないのです。例えば、西に向かって歩くということを「価値」に設定したとします。
西に向かって歩くことは出来ますが、西にはいつまでたっても着きませんよね。
だから西に向かって歩くことが「価値」になります。
また、自分で自由に選べること。人に言われたからではなく、どんなに小さいこと、くだらないと思われることでも、自分が自由に決められる。これが大切です。
吃音への応用としては、次のような問いかけが出来ると思います。
「もし、あと一か月で死ぬと分かっていたら、吃音で悩みますか?それとも何かしたいですか?」
この場合、心の奥で「価値」に気づいているけど、吃音という心理的バリアがあるので踏み出せない(行動の回避)状態から「価値」に気づけるかもしれません。
また、80歳の誕生日を想像してもらって、自分が理想の人生を歩んでいるとして、周りの友達が自分のことをどのようにスピーチするか?想像してみましょう。という問いかけも出来ます。これも隠れた「価値」を明確化するのに有効です。
私たちはとかく傷つきたくないから大切なことに触れないようにしたり、誰かが大切だと言うからなんとなく従っていたりします。
ACTではこれを「価値の混乱」と言います。
また、同じマインドフルネスを行うにも「価値」に向かっているときと、向かっていないときでは効果が違うというデータが出ています。
吃音なら、同じ発話訓練するのでも、吃音の観察をするのでも「価値」を感じているかどうかは大きく違うかもしれませんね。
ちなみに、グループカウンセリングの前半はACTで、後半は吃音に特化したカウンセリングを行っています。
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