地獄の教育実習。

UnsplashTaylor Floweが撮影した写真

今日は、私の吃音体験を書いてみたいと思います。それはタイトルにあるように教育実習です。
今まで、吃音で一番つらかったのが、大学生のときの教育実習でした。

私の吃音は、名前や音読など言い換えの出来ないときによく出ました。
自由に話せるときは、言い換えを駆使して何とかごまかしていました。

高校までは、授業などで話すのに苦労しましたが、大学は美大だったので、人前で話すことがなく左程困ったことはありませでした。
強いていえば、学食でAランチが言えずに仕方なくBランチと言っていたことくらいです。(笑)
しかし、そういうのんびりした学生時代に突然やってきたのが教育実習です。

私は吃音を理由に、将来のことなどほとんど考えていなくて、教職などとんでもないと思っていました。
しかし、進路が不安定な美大に進学する条件として、親と教職課程をとることを約束していたのですね。
そして母校に3週間通うことになりました。

吃音で困っていない大学生活から、いきなり緊張と恐怖の毎日となりました。
初日に校長室で校長に、科目と名前を順番に言うのですが、早速盛大にどもりました。
となりにいた、同じ大学の実習生から「そんなに緊張するなよ~」と言われたのをよく覚えています。

受け持ちのクラスでの自己紹介は、多分どもると思ったので、黒板に大きく名前を書いて、指差しながら読みました。
生徒は???でしたが、、。(笑)

何といっても、大変だったのは出席をとる時です。
言い換えの出来ない「名前」を、30人くらい言わなければならないのですから、、、。
終わったときは、身体はへとへとでした。
生徒は何と思ったでしょう?また、後ろで見ていた担当の先生、他の実習生は、、。
廊下を歩いていたら、後ろから「あの先生、頭がおかしいんだってよ」と、男子生徒の声が聞こえてきました。

そして、あまりのストレスで、家に帰ってもごはんを食べる気がしない、お風呂に入りたくない、、。
今から思えば「うつ病」になりかかっていたと思います。
それでも、誰にも相談は出来ませんでした。

しかし、人間はどんな環境でもそれなりに順応するもので、2週目以降は生徒と卓球をしたり、
雑談をしたり、少し余裕が出てきました。

最後の週は、もうすぐ終わりということもあり、楽しく出来たと思っていました。
しかし、受け持ちのクラスの生徒が書いてくれた寄せ書きに、厳しいことが書いてありました。
ほとんどのコメントは「頑張ってください。」などの好意的なものでしたが、一人だけ「先生には
ならないほうがよいです」と書いてあったのです。
その人だけでしたが、それは心に突き刺さりました。

実は、私の授業の評価もあまりよくなかったのです。
担当の美術の先生は在学中から親しく、私の「絵」は認めてくれていたのですが、
授業は「はっきり言ってお粗末」と言われました。

理由ははっきりしています。吃音を理由に準備が不足していたからです。
学校の授業を担当させていただくなら、一生懸命取り組むべきだったのに、学校や先生や生徒のことを考えずに、自分の吃音のことばかり考えていた、と今なら思えます。

吃音に関しては、カミングアウトした方が良かったと思います。。
多分、当時の私には出来なかったでしょうが、、。
でもなぜ、出来なかったか?また、相談すらしなかったか?
それは、プライドが高かったからです。
吃音者だとみられて評価を下げたくない、周りは敵やライバルだと思っているから相談できない。

寄せ書きに書かれた厳しい指摘は本当だったと思います。

多分、今の私の知り合いは想像も出来ないでしょう。
今は音読や名前でどもることはほとんどなくなりました。
それは、周りのこと以前よりは考えるようになり、他人からの評価を気にしなくなってきたりしたからかもしれません。
プライドもだいぶ捨てられましたから、等身大の自分に近くなりました。だから吃音以外でもラクです。

今回は私の一番つらかった体験を書きましたが、みなさんはいかがでしょうか。
私よりもつらい人は沢山いらっしゃるかもしれませんね。

ちなみに、これからこういう場面に出会うかたは、カミングアウト出来ればベストですが、
ムリならムリでだれかに相談はした方が良いと思います。
それと、合理的配慮は受けられるなら受けたほうがよいのではないかと思います。

ここ最近カウンセリングを申し込まれるかたは、すでに悩みが限界で不登校になっていたり
引きこもりになっているかたが少なからずいらっしゃいます。
早めにカウンセリングを受ければ、個人差はありますが時間も費用も少なくてすみます。
もちろんカウンセリングでなくても、吃音外来という手段もあるでしょう。
ご自分に合う方法を見つけてください。

私は人生はオセロゲームのようなものだと思っています。
生まれた時は、悩みはないから白、徐々に自我が芽生えてきて悩みが多くなるので黒が
続くかもしれません。
でも、どこかで白にしてしまえば、途中の黒は全部白になります。
カウンセリングのある先輩は、吃音の時の自分が愛おしくさえ思えると言っていました。
これは、黒が白に変わっていることですね。
今は真っ黒のかたも、いずれは色に変わるチャンスはきっとあると思います。

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