今、ここにいることの大切さ。

マインドフルネスの大事な要素は「今、ここ」ですが、なぜ「今、ここ」が大事かと言うと
私たちの悩みは「過去」と「未来」のことがほとんどだからです。
悩みを具体的に思い出してみてください。それはおそらく「今、ここ」には起っていない問題だと思います。
過去や未来にこだわり悩み続けていると、心が混乱して「今」の現実に帰ってこれなくなるのですね。
私たちの心は、比較的「今」に注目していくと、強くなれる性質があります。

これを吃音の代表的な悩みに置き換えると
過去は、以前どもったときに人から笑われたので恥ずかしい。変な顔をされて嫌な気持ちになった。
未来は、これから電話するが、どもるかもしれなくて不安な気持ちになる。
ということになると思います。

そしてそんな時は「今ここ」の現実を把握できていないことが多いですね。

例えば、話している相手の表情、瞬間で変化する話の内容、周りの風景や音、においなど、、。
逆に言うと、今ここの現実を把握していると、過去や未来に振り回されずにすむことになります。
それがマインドフルネスです。

電話が苦手な吃音者は多いですが、電話だと相手の顔が見えない、
表情が見えないので相手の今の感情が分からない。
だから過去の嫌な記憶に支配されがちです。
相手は優しく聞いてくれているかもしれないのに、批判的な人だと自分で判断してしまい
どもりやすくなる。と考えられるでしょう。
(もちろん、身振り手振りなどが使えないということもあるでしょう。)

現代人は情報量が多く、振り回されがちです。
ごはんを食べているときも、スマホで何か見たり、歩いている時も音楽を聴いたり。
(これは私もやっていますが、、、笑)

世の中には様々な心理療法がありますが-、「今ここ」を重視している療法は、
来談者中心療法、フォーカシング、マインドフルネス療法、森田療法、ゲシュタルト療法、ACT、
アドラー心理学などかなり多いです。
このうち、来談者中心療法とフォーカシング以外は仏教がベースになっているのも興味深いですね。
それでも、フォーカシングも禅に近いものだと思いますし、来談者中心療法(傾聴)も
東洋的思想が出ていると思います。
これだけ多くの心理学で共通してるのだから、やはり真実なのだなと思います。

トルストイは「重要な時というのはただ一つ、今!今だけに価値がある。今という時こそ、我々が力を持つ唯一の機会なのである」と言っています。
ブッダも「過去を追うな、未来を求めるな、過去は過ぎ去ったのだ、未来はまだやってこない、
あなた方は今なすべきことをしっかりとせよ」と仰っています。

また、今を大切にすることは、「与えられたものに感謝する」「日常の些細なことも楽しむ余裕を持つ」ことにも繋がります。
また「愛情を持った、思いやりのある関係」もそうです。
どれも、「今、この瞬間」に接触していなければできないことです。

カウンセリングで自分の身体の感覚に注意を向けたり、相手の話を真剣に聴くことから
自分や相手に思いやりが芽生えてくることがあるのは「今、ここ」に集中しているからかもしれませんね。

もちろん、セラピーを効果的に行うにはセラピスト自身も「今、ここ」に心理的に存在している必要があります。
そうでなければ、クライアントと心を通わせたり、クライアントの身体や言葉が示す反応を逃さずに捉えることができないからです。
そしてそれは、クライアントに限らず、誰かと良い関係を築こうとする時はいつでも当てはまります。
お互いに理解しあえる良い関係には、感情的インテリジェンス、つまり相手と自分両方が感情的に気づく力が欠かせないからです。
そういう意味では、「今、ここ」にいることは、生きる上で必要不可欠なものと言えるでしょう。

マインドフルネスはさほど難しいものではなく「ゆっくり味わって食べる」「字をゆっくり丁寧に書く」
「気になった風景などをスマホで撮ってみる」なども効果があります。
私は食器を丁寧に洗うことを心がけていたら、毎日食事を作ってくれる奥さんに感謝が持てるようになりました。

ブログランキングの応援よろしくお願いします!

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 吃音症・言語障害へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です