吃音の認知行動療法を体験してみました。

UnsplashBrett Jordanが撮影した写真。

9月24日、吃音の認知行動療法の第一人者である、 灰谷知純先生(ATR脳情報通信総合研究所)のお話が聞けるとのことで東京言友会の例会に参加させていただきました。

参加理由は、私自身もマインドフルネスを組み込んだカウンセリングを行っており、認知行動療法、特にマインドフルネスを組み込んだ第三世代の認知行動療法に興味があったからです。

マインドフルネスの定義は、今この瞬間の体験に注意を向け、評価をせず、とらわれのない状態で観ること。マインドフルネスの2大要素は、
  アウェアネス(気づき)
 外から入ってくる情報と自らの内部から湧いてくる情報、いずれにも自由に注意を向けられる状態に近づいていく。
  アクセプタンス(受容)
 得られた情報に対し、批判したり先入観で決めつけたりせず、ありのままに受け止められるようになること。

私のカウンセリングは、主にどもった時の身体の感覚を観察することですが、それが吃音を受容し、不安の軽減や吃音の改善につながると考えています。
灰谷先生のマインドフルネスは、今回は主に「相手に注意を向ける」というものでした。これは、相手と話す時に「自分がどもるかどうか気になる」という「自己注目」から相手の表情や背景を観察する「外部注目」に変えていくと、社交不安が減るということでした。
 確かに、話す時にどもる不安があると下を向いて話したりするけれど、相手をちゃんと見て話せば
情報がちゃんと入ってくるので、多少どもっても相手はそれほど気にしていないのが分かります。
また、外部に集中すると吃音への注意が減るので、不安が軽減することもあると思います。その外部に注意を向ける練習として、様々な音(電車、人の声、鐘、鳥の鳴き声、波の音)などを同時に聴き、一つの音に注意を向ける、次に別の音に注意を向ける、最後に全体を聴く。というレッスンを行いました。これらは、実際に国立障害リハビリテーションセンターで行われているようです。
(このブログを書いた後、灰谷先生と何度かメールでやりとりをさせて頂き、先日の例会で行ったものは、感情障害(不安やうつなど)に対する認知行動療法で用いられる「注意訓練法」、あるいは「状況への再注意法」「注意シフトトレーニング」などと呼ばれるもので、マインドフルネスとは別のルーツから出てきているものだそうです。
認知行動療法は、マインドフルネスとは別のルーツから発展していますが、結果的に似たようなところに行き着いているのは興味深いところです。)

 認知行動療法の論文をいくつか読むと、従来の認知行動療法は社交不安は軽減するが、吃音の変化は少ない。しかしマインドフルネスを組み込んだ認知行動療法は、両立が期待できるという論文もありました。まだ、国内では始まって間もない療法ですが、とても期待できるのではないかと思います。

 私のグループカウンセリングは、相手と話すとき、主体は自分ではなく相手、相手の表情、感情を受容するようにします。これは一つには「外部注目」になるのではないかと思います。
私のカウンセリングのベースは、来談者中心療法で認知行動療法とは全く違いますが、時代を経て、共通点が見いだせるのは興味深いことです。

私が今集中して学んで早くカウンセリングに応用したいと思っているのが、ACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)です。これもマインドフルネスを組み込んだ第三世代の認知行動療法で、今回の灰谷先生のレッスンもこの一部分だと思われます。

ACTで重要なのは、価値のある行動をとることです。
しかし、人生はなかなかうまくいかない。
そんな時に、自分のコントロール出来ないものは受け入れ(acceptance)人生を豊かにする行動をとることを
自己決定する(commitment)するセラピーです。

アクセプタンスは、つらい思考や感情に効果的に対処し、そこから受ける影響が小さくてすむような心理的スキルを整える。つまりマインドフルネススキルです。そして、本人にとって本当に重要で意味のあること、その人の価値を明らかにするのを助ける。
そして、その価値に導かれ、動機づけられ、触発されながら目標を設定し人生を豊かにする行動をとることです。
ACTについては後程投稿します。

臨床で行われている療法と、私の様な心理的カウンセリングは立場はそれぞれ違いますが、これから吃音者の為にお互いに情報交換していきながら、進歩していければよいと思います。
 灰谷先生の印象は、とても人の話をしっかりと聴かれる純粋なかただと感じました。カウンセラーもそうですが、どんな療法か?技法か?よりも、人としての心の豊かさがが大事だと思います.
灰谷先生には、まさにそんな印象を持ちました。これからも先生が吃音の研究で活躍されるのを期待しております。ありがとうございました。

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