西洋絵画と心理療法について

今日は、リニューアルオープンとなった国立西洋美術館へ、 自然と人の対話—ダイアローグ―から生まれた近代芸術を考察する展覧会を観てきました。
なかなか見ごたえのある展覧会でした。

時代的には、大体印象派から少し後の立体派くらいまでの作品が主です。
一部を除いて、かなりの作品を撮影できるので、私を含めて皆さん撮りまくっていました。(笑)

西洋美術館なので、当然展示は西洋美術なのですが、以前ブログに東洋的思想(マインドフルネスや森田療法など)と、西洋的思想(精神分析、認知行動療法など)の違いを書いたので、
その観点から西洋絵画を観ると、新しい発見があって面白かったです!

名作が沢山あったのですが、最初に目に留まったのが、クールベの「波」です。

波の動きが写実的でダイナミックですね。
こうして改めて観ると、とても対象を客観的に描いているなと思いました。
自然(波)というものを、対象化して色や形を分析し、正確に描いています。
西洋絵画の文脈は、キリスト教の影響が大きいのですが、宗教ではなく、自然を主体として描くこと自体、当時はとても先鋭的なことだったのでしょう。

次に、モネの睡蓮。有名ですね。
モネの絵は、晩年になるにつれて、クールベのように見たままに描くのではなく、
光を意識するようになります。形も省略されていて、モノを描いているというよりは
光の反射のイメージを描いているように見えます。
このように、だんだんと抽象化されると、頭で分かるというよりは潜在意識に入り込んでくる感じですね。
印象派が出てきた頃、絵とはこうあるべきと考えていた評論家達から酷評されたのはよく分かる気がします。

やはりゴッホは一番人気でしたね。刈り入れ、という作品です。
この黄金に光る穀物は麦なのですが、すでに精神に支障をきたしていたゴッホは
麦が刈り取られるのを、自分の命の終わりと重ねて見ていたようですね。
しかし、なんという力のある絵でしょうか!
ちなみに、東洋と西洋という観点から見ると、ゴッホは浮世絵などの影響を受けていたので、
東洋なものの見方が入っていると思います。

そして、ポール・シニャックのサン=トロペの港。
これは点描画と言われる、色を分析して、点で表現する技法ですね。
以前は、ただ点描画だなとしか観ていませんでしたが、今日は西洋的だなと思いました。
対象の色を分析して、点の集まりで表現するということは、自然を分解する科学的思考につながると思ったからです。
これは、キリスト教の文化(神と人々は対象化されている考え方)から来ているのかもしれないと
思いました。
対して、東洋的思想(仏教など)は、仏(自然)と人々は一体であるという考え方ですね。
こうして観ると、絵は面白いですね。

モンドリアンのコンポジションXです。コンポジションとは、構成という意味です。
これは確か木を描いたものですが、「構成美」という観点から、木を分解し、構成の美しさを突き詰めたいのが伝わってきます。
これも、とても西洋的な文脈だと思います。
こうして改めて観ると、西洋絵画は対象を分析し、普遍的な美しさ(神に通じる)ものを追い求めてきたようにも感じます。
心理療法も、精神分析という疾患の原因を突き詰めていく、分析し対処していく方法。
認知行動療法のように、論理的に間違いを修正し、行動を正していく方法。
どちらも、理論的で科学的ですね。

それに対し、仏教や道教なども東洋的思想は、自然と人々は一体である、
分析するのではなく、自然に返る、一つになるという考え方です。
これは、心理療法としては来談者中心療法、フォーカシング、マインドフルネス、
森田療法などに生かされているのではないでしょうか。

これは、キリスト教と仏教のどちらが良いとか、西洋と東洋のどちらが良いということではなく、
両方が認め合い、学びあうのが良いと思います。

認知行動療法がマインドフルネスを取り入れたのも、そういう流れなのかもしれないですね。

最後に、外に出ると、前庭にロダンの考える人があります。

意外と見どころは「足の指」なんですね。

なんと力の入った足の指なんでしょう!
ロダンは、全身全霊で考えている人を、足の指で表現したのですね。
普通は見落とすところです。
カウンセリングも身体全体から受けるのを感じとるのが大切だと言われているので
ここまでちゃんと見なさいよ!とロダンに言われているのかもしれないと思いました。
では、また!

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