とらわれを捨てる
とらわれを捨てると言うほどのことでもないのですが、
私が経験したことで、少しだけ変われたかな?というプライベートな経験を書いてみます。
ちなみに、直接吃音とは関係ない話です。
もう大分前になりますが、少しプロでベースを弾いていました。
当然、音楽だけでは食えないので、昼間はバイトです。
しかし、そのバイトだけでは苦しくなってきたので、夜もバイトをすることにしました。
私は、吃音なので声を出すバイトは極力避けてきました。
大学時代はある発掘調査のバイトで、大学名が言えず別の大学の名前を言ってしまい
それからつじつま合わせに随分と苦労したことがあります。(笑)
そして夜のバイトとなると、ほぼ飲食業しかありませんでした。
そこで、某ファミレスの厨房でバイトをすることにしました。
(ホールを選ばなかったのは、やはり吃音の不安があったからです。)
面接では、割と優しく物わかりのよい店長で、そこで働くことは決まったのですが、
面接中に「今までしてきたバイトは?」と聞かれ、「昼間のバイトとコンビニ」と答えました。
一時期、夜はコンビニでもバイトをしていたのです。
すると「コンビニよりはちょっと大変だよ。」と言われ、その時は聞き流しましたが
後で分かることになります。
厨房の仕事は、想像以上にハードでした。
吃音の不安はないけど、仕事を覚えるのが大変でした。
一度作ったメニューは覚えなくてはならず、二度と教えてもらえません。
当たり前と言えば当たり前ですが、、、。-
マニュアルは一応ありますが、みんないちいち見ていないし、見ている暇もありません。
ある人から聞いた話だと、調理師の人は気が短い人が多いと、、、。
確かに、上下関係は厳しいイメージがありますね
私が教えてもらう先輩も、年下でしたがプロレスラーのような体格で、気が短く、気に入らないことがあると、怒鳴りながら壁を蹴るような人でした。
私はどちらかと言うと、仕事を覚えるのは遅い方だし、吃音なのもあって、なるべくバイトを避けてきたので、仕事自体の経験が少なく機転の利いた動きが出来ませんでした。
厨房で働く人からすると、イライラするのでしょうね。
結構いろいろと厳しく言われました。
ある時は、焦ってしまい唐揚げを揚げている油に手を突っ込んだこともあります。(笑)
やめたいけど、他に仕事はないし辞められない、、。
でも、ふとこう思ったんです。
「とにかく真剣にやってみよう」と。
それまでは、出来るか出来ないか?とか、怒られるんじゃないか?とか
気にしながら仕事をしてたのですね。
それをやめて、仕事に全集中することにしました。
すると不思議と不安は少なくなり、先輩の目も気にならず、仕事そのものに集中していました。
バイトの時間がもうすぐ終わる少し前に、その先輩から
「今日の馬田さんは、全然違うね!見違えるようだね」と言われました。
私は多分「出来るか出来ないか?」とか、「人からどう見られるか?」ということに
とらわれていたのだと思います。
その日は、それがなかったのですね。
ただ、必死で仕事をしている、それだけでした。
でもそのバイトは次の日で、辞めることになります。
昼のバイトが急に忙しくなり、続けられなくなったからです。
店長は困っていましたが、最後の日も集中して仕事が出来ました。
すると、その先輩が「馬田さんがいなくなるのは残念。期待してたから、、。」と言ってくれたんですね。
その時は、本当にうれしかったです。
最後に仕事を終わって、ファミレスから出る時に、厨房に向かってお辞儀をしたのを覚えています。
始めて仕事に感謝出来た時だったのかもしれません。
それから、人生が大きく変わったかと言うと、そんなことはなく(笑)
相変わらず、ダラダラとした人生を送っていたのですが、
似たような経験をバンドでもすることになります。
曲がどうしても作れずに、悩んでいた時、バンマスに「一度寝ないで曲を作ってみろよ」
と言われたのです。
それまでは、出来ないと自分に負けて疲れて寝てしまっていたのですね。
これもとらわれですね。
それからは、昼はバイト、夜はレコーディング、深夜に作曲ということが
何度かありました。
そのバンマスの言葉が、私のとらわれを取ってくれたのだと思います。
これらは、もう大分前の話ですが、こうやって少しずつ人は変わっていくのだなと思います。
実は、今もこれに似たことが起きています。
いや、起きていたことに気付いていなかったのかもしれません。
心の目が寝ていると、目の前のことに気付けないですからね。
それでは、また!
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