防衛機制

心理を学ぶことは、ある意味心のからくりを学ぶことでもあります。
その中の一つに「防衛機制」があります。
私達の心の奥には「自我」があり、日頃から抑圧を受けています。
そして、その抑圧から自我を守り、こころの安定をはかるために、私達は様々な「防衛機制」を行っています。
抑圧を環境と言い換えれば、外的環境(気温など)は、衣服を調節することで対応できますが
内的環境(心理的なもの、例えばパワハラなど)はいつも適応できるとは限りません。
それに対して、精神が破綻しないように、自我を守り、何とか現実との折り合いをつけようと働きが防衛機制です。



防衛機制の特徴としては
①意識的ではなく、無意識的に行われる。
②反復的に行われる。
があります。

防衛機制には様々な種類があります。

抑圧 受け入れがたい感情や欲求を無意識に押し込めること。
例)自然な感情を見て見ぬふりして押し込める→身体に出ることもある

投影 自分が相手に対して持っている感情や欲求を相手が自分に対して持っていると思うこと。
例)母親が自分の母親に対してコンプレックスを持っていて、それが解決していないと
娘に自分を見てしまい、受け入れられなかったり、目をそらしてしまう。

同一化 相手と同じになって、安定を得ようとすること。
例)いじめのリーダー格に引っ張られて、自分もいじめをする。→心の安定を得る。

反動形成 本当の欲求や感情を反対の形で表すもの。
例)好きな女の子をいじめる男の子(気持ちが漏れるのを嫌がるから)

置き換え 本当の欲求や感情を他の対象で満足させようとすること。
例)父の愛情に飢えている。→父親のような男性と付き合う。

転換 葛藤や欲求不満を身体症状に置きかえること。
例)ショックな事件に会う→思い出して過呼吸になる。

昇華 反社会的な欲求や感情を社会に受け入れられる形で表すこと。
例)人を殴りたい→ボクシング 失恋→歌にする。

合理化 屁理屈で言い訳をする。
例)子供を虐待する親→しつけのためだから。

退行 幼児期や児童期への段階に戻って甘えること。
例)ストレスがたまると昔の友達に会いたくなる。

打消し 受け入れがたい感情や欲求を、他の行動で打ち消そうとすること。
例)人を傷つけてしまった→自分の身体をゴシゴシ洗う。

逃避 葛藤や欲求不満を起こすような場合から逃げ出すこと。
例)難しいことを言われると眠くなったり、意識が遠くなる。

補償 劣等感を他の行動で補おうとすること。
例)兄にコンプレックスを持つ弟がスポーツを頑張る。

いかがでしょうか?
抑圧に関しては、吃音は関係していると思います。
吃音は心身症にも分類されていています。
心身症とは、ストレスによって身体に症状が出る障害のことです。
つまり、心理的な抑圧から吃音という身体的症状が出ていると考えれらます。
こころの叫びを身体が代弁しているとも言えます。

昇華に関しては、あれ悪いことなの?と思われた人もいるかもしれませんね。
防衛機制はすべてが悪いわけではなく、本人や社会に役立つものもあるのですね。
抑圧を建設的に変えていく、いい例かもしれません。

補償も、吃音者は普通劣等感のかたまりですから、他の行動で補おうとしますね。
私の場合は、絵が好きだったので「せめて絵では人に認められたい」と思って、一生懸命に描きました。

以上が主な防衛機制ですが、いかがでしたでしょうか?
当てはまるものがありますか?
これは、自我を守る働きなので、決して悪いものではありませんが、
あまり好ましくない防衛機制をつかってばかりいると、現実に適応できず
人間関係のトラブルにつながることもあります。
ただ、ほとんどのものは無意識に行なわれるため、行動を変えるのは難しいとも言えます。

ちなみに、フロイトは「最も高いレベルの防衛機制はユーモアである。」と言ったそうです。
不快感をユーモアで表すことが重要なんですね。
これは、お笑いの世界を見るとよく分かりますね。
特に落語は、江戸時代に社会の不条理や庶民の生活への不満を笑いに変えているという点で、レベルの高い防衛機制と言えるのではないでしょうか。
笑いに変えるということは、問題を外在化し、客観視することが出来るということですね。



吃音に関しても、もし笑いに変えることが出来れば、吃音に対する見方がかなり変わると思います。
私もある仕事の電話でどもってしまい、笑われたことがありましたが、
逆に自分からも笑ってしまったことがあります。
そしてそれ以来、ストレスが減ったような気がします。



防衛機制はその名称が示すように「防衛」という受け身的な心理機制であって、
積極的に合理的な方法で問題解決を図るものではありません。
一部の規制を除いては、自分を欺く問題処理の仕方です。
しかし、人間はすべての問題を合理的に解決することは不可能なので、
防衛機制は用いざるを得ません。
この点で防衛機制は人間にとって不可欠なものですが、
あくまで適切な範囲内で用いられるべきものであり、
頻繁にこれが用いられると神経症的な症状を形成することになりますので
注意する必要があります。

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