中居正広さんの(旧)ジャニーズ退所の記者会見について
あらゆる可能性を否定しない、頭の柔らかさと想像力
大分前の話ですが、中居正広さんの(旧)ジャニーズ退所の記者会見について書いてみます。
なぜ今頃とお思いでしょうね。実は、数年前にあるところのブログに書いたネタの焼き直しだからです。(笑)
でも、内容はリニューアルしてますよ!
皆さんは、あの記者会見ご覧になりましたか?
私は、さすがのMC力だと思いましたが、ちょっと違った視点でも見ていました。
会見の中で、芸能レポーターに今後の展開について聞かれて、良く使っていた言葉が
「可能性は1%〜99%の間」でした。
これは絶対ない訳でもないし、ある訳でもない
その間は無限の可能性がある。という意味ですね。
以下、中居さんの言葉です。
「エンターテインメントというのは、僕の中では1%から99%の中で模索をしている。
99%だめかもしれないけど、1%もしかして何かあるんじゃないか。
これが新しい挑戦。
もしかして1%しかなくても、そこにかけてみようという、
それが新しいチャレンジで、この非常識を常識化するためには
長い間やっていかないと無理なこともありますから。
スマップの再結成の可能性も1%から99%の間。
絶対ない訳でもないし、ある訳でもない。」
0か100かの発想ではなく、その中間を認めること
アドラー心理学の中に「ベーシックミステイクス」というのがあります。
ベーシックミステイクスとは独特の価値観で物事を正確に客観視出来ない非建設的な認識のしかたです。
その中に「単純化」というのがあります。
0か100かの発想しかなく、その中間に気づかないか認めないことです。
例えば有名企業以外にも会社はあるが、それ以外の会社の価値はないと思い込んでしまうことです。
先日Xで「この心理学の本に書かれてあることが、吃音にも当てはまるかもしれない」とポストしたら
「ないよ」とコメントを付けて引用した人がいました。否定したかったのでしょう。
しかし正確には「あるかもしれないし、ないかもしれない」です。
この決めつけが「単純化」です。
中居さんがこの話をした時に、私はあらゆる可能性を否定しない
頭の柔らかさと想像力を感じました。
常識は変わる
「非常識を常識化する」という言葉にも惹かれました。
私達は、常識は変化しないと思いがちですが、長い目で見ればかなり変化しています。
私が若いころは、電車には灰皿があり、たばこを吸うのは当たり前でした。
それが、禁煙席が出来て、その後全部禁煙になりましたね。
今では、常識は変わってしまいました。
飲食店での喫煙も、これからはなくなりますね。
そして、非常識を常識化するということは、誰にも認められないことを
認めてもらえるまで行動することですから、並大抵ではないですね。
スマップの立ち位置
スマップも、(旧)ジャニーズの中で、最初は異端と言われていました。
自分たちがアイドルであるということに言い訳せず、体を張って笑われることを恐れなかったんですね。
積極的に笑われる存在になることによって、スマップはそれまでのアイドルとは一線を画すアイドル像を作り上げました。
アイドルがバラエティー番組に出る、ソロでも活躍する。
スマップ以前は考えられなかったことです。
そして、アイドルを手の届かないスターではなく、親しみやすい、笑ってもいいという身近な存在にしたことも非常識を常識にしたところです。
まわりへの気配り
また、今後のスマップの再結成の話し等を聞かれた時に印象に残った言葉が
「まわりを状況を見ながら」です。
これは決して逃げの言葉では無く、本心だったと思います。
多分この人は、自分の事よりもまわりを常に優先して気を配る人だと感じました。
自分が何々したい!こうしたい!ではなく、まわりとの協調を大事にする。
まわりの人の能力を引き出すように自分を変えていく。
だからここまで引っ張りだこの司会者になったのでしょうね。
仏教に近い考え方
これは仏教の考え方に近いと思いました。
仏教では私達が思う確固とした「自分」というものは実は無くて、まわりとの関係性において、たまたま存在しているだと説きます。
「自分はこんな人間だとか、こういう性格だとか、こんなモノが好きだ。」
というのは固定化されたものではなく、環境との関係や人との出会いなどで
たまたまそうなっている。つまり環境が変わればいくらでも変化するということです。
これを体感するようになると思い込みや先入観がなくなってくるのでラクになります。
例えばここで「どうしてもスマップを再結成したい」と思ったとしましょう。
そこから課題が生まれますね。
そしてうまくいかなかった時はストレスとなります。
「再結成はない」と決めてしまうのも、それが決めつけとなって自分を苦しめます。
「なるようになる」「その時その時を一生懸命頑張ればいい」と思えば
心は自由だし、結果を気にせずに過程を楽しむことが出来ますね。
これは「今ここに生きる」を大事にする、ACTやマインドフルネスの考え方に近いです。
「自分はだめな人間だ」というのも、思い込みかもしれません。
今はたまたま良くない関係があるからで、新しい出会いがあれば
いくらでも変わってくる可能性があります。
大事なのは、1%から99%の可能性を否定しないこと、決めつけないことだと思います。
カウンセリングへの応用
実は、カウンセリングでも似たようなことをしています。
例えば「時計を見るのは、時間を知るため。黙って1分間時計を眺める人はいない。」
という文章があります。
まず、私達には時計は時間を知るものという思い込みがあります。
それはそれで正しいのですが、一つの見方にしかすぎません。
美しいデザインなのか?とか、色はどうなのか?とか
時計を見た「感じ」に注目する人は少ないかもしれません。
スティーブ・ジョブズはアイフォンのデザインにこだわったそうです。
ただ、使う目的だけなら、もっと無骨なデザインでもよかったのかもしれません。
しかし、一切の無駄を省いたデザインにこだわった。
(禅の影響だそうですが)
そもそも、スマートフォン自体が非常識を常識化したものですね。
パソコンの機能を携帯電話に入れてしまうなんて、、、。
すごい発想だと思いますが、いまや常識です。
これからAIが発達してくると、既成の考えかたやアイデアでは人はかなわなくなると思われます。
人間の強みは、なかったものを生み出すことや、非常識を常識化することです。
あと数十年のうちに、今までの職種は消えて新しい仕事にとって代わるのではないでしょうか。
つまり、現状維持では衰退するということです。
中居さんが言うように、可能性が1%しかなくても、そこにかけてみようという、
チャレンジをしていく必要がありそうですね。