嫌いな仕事を好きになる
M1芸人からゴミ清掃員に。
皆さんは自分の仕事は好きですか?
多分「好き!」と答えられる人は少ないでしょうね。(笑)
今回は、吃音とは直接関係はありませんが、嫌いな仕事を好きになる秘訣を考えてみたいと思います。
「マシンガンズ」という漫才師をご存じですか?
最近はM-1の漫才師といえども、仕事を得るのは大変なようですね。
マシンガンズの滝沢さんは、生活の為にいやいやゴミ清掃員の仕事を始めたそうですが、
今では、好きになったそうです。ではなぜ、嫌いな仕事が好きになったのでしょうか?
M-1芸人からゴミ清掃員に。マシンガンズ滝沢に学ぶ「どんな仕事でも楽しんじゃう」ための心掛け
意味付けを変える。
仕方なく始めたゴミ清掃員。周りからは「もう終わったな」という目で見られていたそうです。
でも、生活の為には働かなくてはならない。そこで、仕事を楽しむための工夫を始めました。
それは「ゴミだけじゃなく、何か面白いと思ったことを拾って帰ろう」と考えたそうです。
すると作業にも集中できたし、いろんなものが見えてきたそうです。
これは、以前の投稿にも書いたリフレーミング(物事の枠組みを作り直すこと)でもあると思います。
同じ作業でも、ただ生活の為にいやいや働くのか?目的を持って働くのか?意味付けを変えることですね。
ゴミの観察。
では、その面白いこととは何か?それはゴミの観察です。
ゴミとは、人の生活から出て来るもので、よく見ると、ゴミを捨てた人の生活が分かります。
もっと言えば、その人の人生が表れているかもしれません。
私も、時々ゴミ捨て場の掃除をすることがあるので、
人のゴミをみると、プライベートに踏み込んだ気がして、なんだか刑事になったような気になります。(笑)
滝沢さんが言うには、お金持ちと庶民だと、お金持ちの方のゴミが多いように気がしますが、実際は逆だそうです。
庶民は安いものを買って、すぐに捨てる。お金持ちは気に入ったものを買って大事に使うのだそうです。
また、ゴミの分別をちゃんとしない会社はすぐにつぶれるとも、、、。
ゴミは、うそをつかないんですね。
嫌なものをあえて見ていく。
少し話はずれますが、このゴミの観察は、吃音の観察に似ているなと思いました。
ゴミも吃音も嫌がられるもの。出来れば見たくないものですね。
でも、自分から積極的に見ていくと、何か発見があったりする。
共通点があると思いました。
またこれは、マインドフルネスにも共通していると思います。ただ見るのではなく、自分から積極的に見に行く姿勢ですね。
吃音の治療では、一部「注意をそらす」方法が行われています。吃音という、厄介な嫌なものを見ないようにするために、
他のことに注意を向けるということです。
これはこれで、上手くいけばいいのですが、心理学の立ち場からすると危険性もあります。
人は、嫌なものを見ないようにすればするほど、そこに注意がむいてしまう特性があるからです。
むしろ、嫌なものをしっかりと認識した方がよいと思います。
真のポジティブとは、ネガティブを避けるのではなく、むしろネガティブを味わい尽くすところから生まれると考えています。
嫌なのもをネタにする。
話を戻しますと、滝沢さんが面白くなってきた理由として、「ゴミをトークのネタにした」というのがあります。
本来、肉体的にも精神的にもつらい仕事を「ネタ」にして、人に面白おかしく聞かせることによって、仕事への意味付けを変えてしまったのですね。
新しいゴミのネタを仕入れるたびに、「いつかどこかで発表してやろう」と思っていたそうです。
つまり、嫌なことを避けるのではなく、その環境や意味付け、文脈を変えたということですね。
このネタにするというのは、心理学としては正しいです。ACTのベースとなる哲学(機能的文脈主義)も、この考え方です。
例えば、緊張しているときの対処方として「緊張してかっこ悪い自分をネタにして笑いをとる」のは、よい方法です。
緊張に飲み込まれるのではなく、後でネタにしてやろう、という意識ですね。
ネタにしようとすると、自分の思考や感情を観察する必要があり、それが嫌なことに呑み込まれないことに繋がるからです。
(ACTの脱フュージョンのテクニックと似ています)
滝沢さんは、このネタにして面白がることは、どんな環境でも出来ると言っています。
ということは、自分を取り巻く世界を変えることも出来るということですね。
最後に、滝沢さんはこう言っています。
「僕が強く影響された、ダチョウ倶楽部のリーダー・肥後さんの言葉を送りたいです。『自分で“こうなりたい”と思ったら、とりあえずやってみろ。できなかったら、ニヤニヤしながら帰ってこい』と。
この肥後さんのアドバイスはいいですね。
特に、ニヤニヤしながらという表現が、、。(笑)
どもった後や、失敗した後もあまり深刻にならず、ニヤニヤしているといいかなと思います。
これもストレスを笑いに変える一つの方法ですね。
仕事にどう向き合うか。
ちなみに、私は営業という仕事が大嫌いでした。勿論吃音だから、昔から避けていたのです。
ところが、これは滝沢さんと同じなのですが、必要に迫られ営業をしていくうちに、さほど嫌いではなくなりました。
吃音で悩まなくなったのもあると思いますが、営業の楽しさや面白さが分かってきたのが大きいと思います。
それと、昔から吃音で自分がしゃべるよりも、人の話を聞くことが多かったので、営業で相手の話を聞くことが嫌ではないのもあるかもしれません。
勿論、その長所はカウンセリングにも活かされていると思います。
どんな仕事でも面白さはある、嫌なことや現実から逃げていると、例え別の仕事についても同じところでつまずくかもしれませんね。
マシンガンズの滝沢さんは、嫌いな仕事に対して、興味を持ち、仕事を観察することによって、好きになりました。
吃音も、同じかもしれません。まずは、吃音を嫌なものとして見ずに、友好的に見て、身体感覚や思考、感情を観察する。
すると、滝沢さんのように、新しい見方が出来るかもしれません。