銀メダリストより銅メダリストになろう!

パリオリンピックが始まりましたね!私はオリンピック好きなので、楽しんで見ています。
ところで、出場する選手は、当然金メダルを目指して頑張っているわけですが、仮に金メダルが取れなかったとして、
選手にとって、銀メダルと銅メダルのどちらが幸福度が高いかご存知ですか?
実は、銅メダルなんです。
ビクトリア・メドベク(Victoria Medvec)教授(心理学)らの研究
これは、冬季オリンピックの研究ですが、「第1位でフィニッシュすることが冬季五輪で最も重要なのは間違いないとしても、実は、2位につけるよりも3位になった方が選手の満足感が高い場合が多い」との研究結果が、カナダの日刊紙グローブ・アンド・メール(Globe and Mail)に掲載されました。
(米イリノイ(Illinois)州のノースウエスタン大(Northwestern University)のビクトリア・メドベク(Victoria Medvec)教授(心理学)らの研究チームによる)
メドベク氏は、グローブ・アンド・メール紙に対し、「平均すると、銅メダリストの方が、銀メダリストよりも幸福感を得ている」と語った。同氏によれば、銅メダリストは、「少なくともメダルをとったぞ」など前向きな発想をするために満足感が高まる。一方、銀メダリストは「もし~~だったら(金がとれたのに)」などと後ろ向きな発想をしがちで、その結果、幸せな気分を減退させるのだという。(AFP BB Newsより抜粋。)
要は銀メダリストは「金メダルが取れなかった」と思う傾向があるのに対し、銅メダリストは「メダルを取れなかった人がほとんどなのに、自分は取れた」ことが幸福度に繋がったということですね。
コップの水のたとえ
心理学、特に認知行動療法では「コップの水のたとえ」の話が、よく出てきます。
コップに半分に水が入っているのを見て、「半分しかない」と思うか?「半分もある」と思うか?の違いです。
コップの水の量は変わりませんが、その人の受け止め方(認知)は変わるということです。
当然「半分しかない」と思う人は、ネガティブな思考や感情になりがちです。「半分もある」と思う人は、ポジティブですね。
ネガティブな思考とは?
では、ネガティブな思考の原因は何でしょうか?
私は「人と比べる心」だと思います。
コップの水が半分なのが多いのか?少ないのか?絶対的な基準はないと思います。必要な量も状況によっても変わりますよね。
ところが、人と比べたがたがる人は、無意識に自分より水の人の多いコップを意識し、「いいなぁ」「羨ましい」と思っているのです。
これは「あの人の家は自分の家より大きい」とか「あいつは自分より背が高い」とか、比較する心と同じです。
そして、この時点で「半分の水」に対して、ありのままを見るということが出来ていません。
水に対しての感謝の心がない状態です。
これが、銀メダリストにありがちな傾向ということですね。これのどこが問題なのかと言うと、仮にコップの水が増えたとして、しばらくすると、それに満足出来ずに、もっと多くの水が欲しくなることです。例えば、年収1,000万円を実現させた人がいたとしたら、その人は今度は年収2,000万円の人を羨ましく思うでしょう。
これは、人間関係にも言えますね。「あの人はどうしてああなのだろう?」と責める心がおきることがありますが、
大体は、自分の基準と比較して「この人は劣っている」「常識がない」などと、評価を下して見下しています。
誰にでもあることですが、これが強すぎたり、長い間常態化すると、ネガティブな思考になります。
今あるものに感謝の心を持つ
カリフォルニア大学デービス校ロバートA.エモンズ心理学教授は、「感謝することを毎日ノートに5つ書いたグループ」と「何もしないグループ」を比較し、
「感謝することを5つ書いた」人たちは「「何もしなかった」人たちより、人生をポジティブにとらえ、幸福感が高まった。という研究結果を出しました。
これは、認知行動療法で行われる「出来たこと日記」に似ています。
毎日、何でも良いので「出来たこと」を見つけて、寝る前に日記に3つ書いていきます。
「何も良いことがない時はどうすればいい?」と思われがちですが、「ご飯を食べられたこと」「寝られたこと」「朝起きられたこと」でも良いのです。
つまり「今、出来ていること」「今、あるもの」に感謝することが大事だということです。
マインドフルネスも感謝の心
マインドフルネス瞑想も、突き詰めると感謝の心を育むものです。決して、吃音を治す「道具」ではありません。
例えば、「呼吸瞑想」は呼吸に関する身体感覚を養っていきますが、もし呼吸がなかったらどうでしょうか?
私たちは、数分しか生きていられません。
「食べる瞑想」もそうです。食べなければ死んでしまいます。
瞑想は、「今生きていることへの感謝を育む修行」なのです。
吃音に当てはめると
吃音に当てはめると、悩んでいる人は「どもったこと」は過剰に意識し、「どもらなかったこと」は意識しません。
よく「どもっても、言いたいことが伝わればいい」と言いますが、これも、出来なかったことより、出来たことに感謝しようということです。
吃音で悩んでいる人は、このように「足りないもの」を意識する傾向があると思います。
私の周りで吃音が改善した人は、大体、この感謝の心や、人と比べない、足りているものと足りないものをバランスよく意識できる人が多いです。
感謝できる人は、まわりの世界に感謝し、思いやりを持ち、その結果自分にも思いやりを持てるようになるので、吃音が改善するのです。
今、臨床で行われている「セルフ・コンパッション」も、基本的にはこの原理です。
まとめ
まとめると、銀メダリストより、銅メダリストのほうが幸福感が高い。
その理由は、得られないものより、得られたことを意識するから。
今、あるものに感謝する気持ちが大切。
それは吃音にも当てはまる。
です。
パリオリンピックは始まったばかりですが、こうした視点でみるのも楽しいかと思います。


